2022年3月15日、日本向けに配信されたiOS15.4。目玉はFace IDがマスクに対応したこと。Twitterなどでの反応を見たところかなり評判のようなので、精度の良さを前提に、今後のiPhoneのあり方を今一度考え直してみたいと思う。
マスク対応Face IDの精度
今の私の手元にはFace IDどころかiPhoneが無い（売った）ので自分では確かめられない。なのでYouTubeに早速上げられている動画を何本か見てみた。対応機種は12、13シリーズ。
登録はマスクを着用せずに行う。眼鏡をかける人は眼鏡をかけた状態で登録する。マスク対応はON/OFF切り替えができる。どうやら、やる事はこれだけのようだ。マスク対応Face IDは目の周りの特徴を捉えての認証をするとのこと。
iPhoneと顔が向かい合う時のそれぞれの角度、マスク対応状態によるセキュリティ低下の可能性など注意点はあるが、使い勝手はマスクを着けていない時と変わらない様子。
2年間かけて開発したのだろうか？Appleはなんだかんだで精度の高い物を出してくれる。マスク対応のON/OFFを切り替えられるのも嬉しい気遣い。強制対応みたいになったら、せっかくやったのに不満を買うことに繋がる。実際は喜んでONにする人が殆どではないだろうかと、何となくそんな気はするが、セキュリティ低下の可能性も同時に孕んでいることを事前にメッセージ表記するのは、Appleのちょっとした自衛に思えなくもない。仕事においてそれはそれで重要だが。
Androidの顔認証
Androidにも顔認証はあるが、その殆どは顔写真を基に判断する、言ってみれば「なんちゃって顔認証」なところがある。認証に使うのはインカメ。実際の顔ではなく、顔写真をかざすだけでも認証することまであるとどこかで聞いた記憶がある。iPhoneのFace IDは専用のセンサーを複数使って認証している分、インカメよりも精度が高い。
実際、私はOPPO Find X3 Proの顔認証を使ってみたことがあるが、顔写真の登録は一瞬で終わり、静止したり顔を回したりすることは無かった。認証は確かに速いが、マスク越しでも同じ速さで認証できる。iPhoneほどの精度が確実になくて、マスク越しでも一瞬で顔認証ができるのは、逆に不安だった。なのですぐ顔認証の登録を解除した。
iPhoneSE第3世代の立場
マスク対応Face IDの精度が高ければ高いほど気がかりなのがこれ。
進化したFace IDがTouch ID第2世代の完全上位互換まではいかないだろうが、発表されたばかりの新製品が、発売日前に魅力が薄れてしまったのは否定できない。
Face IDもTouch IDも使う人の体質により相性の善し悪しが分かれることがあるそうだが、Face IDとの相性が悪くない人にとって、iPhone13シリーズではなくSE第3世代を選ぶメリットは値段くらいか。人によってはホームボタンを使った操作がしたいだろう。私もAndroidスマホの操作はジェスチャーではなく画面下部の3つの仮想ボタンを使っているので、ジェスチャー操作よりホームボタン操作の方が体に馴染んでいるだろう。私のような人ならホームボタンはメリットになる可能性は残る。だが慣れの問題な気もしている。
どうしても指紋認証がいい、どうしてもホームボタンが欲しい、という人以外には価格以外刺さる要素があるのか、疑問。下手するとそもそも製品として出す必要が本当にあったのかを問われるような事態まで起きないか、気がかり。キャリアショップや家電量販店でのiPhone一部機種バラマキ販売に対し今後総務省が動くかもしれないらしいので、その期待はしないでおく。
バッテリー持ちは第2世代より長くなったとはいえ、12、13シリーズの方が長く持つ。バッテリー持ちの長さは使い勝手、使い心地に直結する要素の1つなので馬鹿にならない。私自身、Pixel 5aのバッテリー持ちの長さがとても安心・快適で、精神衛生に繋がっているようにさえ感じられる。
勿論人によってスマホ選びの最適解は変わるし、一概にこれが正解と定義することはできないが、今回のiPhoneSE第3世代はスマホ市場の中での相対的優位性が過去と比べ下がったと言わざるを得ない。前回の第2世代はタイミングが良過ぎて、12 miniの販売台数を自社製品が足を引っ張ってしまう事態まで招いた。
繰り返すがスマホ選びの最適解は人によるし、スマホに限った話でもない。スマホはiPhone、小さい、軽い、指紋認証、ホームボタン付きが好きな人が今からiPhoneを買うなら選択肢に入れてもいいが、バラマキ販売されている筆頭のSE第2世代も充分な性能を持っている。前回とは打って変わって、今回はタイミングが悪過ぎる。
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