auの大規模通信障害に対し思う事

スマホ

2022年7月2日未明、auの回線で全国的な大規模通信障害が3日間に渡り発生した。私がこの記事の原稿を書き始めた7月4日22時頃、サブ回線のpovo2.0のSIMカードを挿しているサブスマホは本体を再起動させたらauの電波を再び掴めた。データ通信もできる。この3日間に思った事をまとめてみる。

通信障害は発生するもの

今回の通信障害は、7月3日時点で既に「同社史上最大」とされた。通信回線を1人で複数持つ私のような一般人までいるくらい通信網が普及していることの裏返し、それ故のリスクでもある。

通信障害の発生原因は、通話用のルーターを古い物から新しい物へと切り替える際にミスが発生し、ネットワークの渋滞(輻輳、ふくそう)に繋がったためだとのこと。言ってしまえば、これはユーザー側にはどうしようも無い。通信障害を発生させないためにユーザー側にできる事なんて強いて言えば通信も通話も一切しないことくらいで、何も無いも同然。起こさせないようにする、はキャリア側が意識して実践する事なのだ。

ユーザー側は、起きた場合にどう備えるか、が考える事。今回のauに限らずdocomoもSoftbankも、通信障害が発生する時は発生するし、過去実際に発生している。auで通信障害が起きたからdocomoかSoftbankの回線へ乗り換える、は解決でも対策でも何でもないのだ。実際、7月7日に一部地域にて一時間程度、docomoでも通信障害が発生した。

デュアルSIM or 2台持ち

どのキャリアとて通信障害は発生する事。ユーザー側にできる対策は、複数キャリアの回線(通信+通話)を契約し、デュアルSIM運用か2台持ちをすることくらい。特に仕事用携帯はそうしたいのではないだろうか。今は安いプランが増えたので料金面でのハードルは下がったはず。ただしデュアルSIM運用にしても2台持ちにしても、用途を決めること含めある程度以上のリテラシーは必要になる。それが嫌なら相応の料金を支払い割高プランを使うしかない。それが対価というもの。

1台のスマホにSIMを2枚入れる(eSIMも含む)デュアルSIM運用と、2台のスマホに別々にSIMカードを入れる2台持ち。どちらが正解、というのは特に無いと思っているので、合う方を選択すればいい。個人的には、今は2台持ち。ここで重要なのは、回線を複数持つのであればそれぞれ異なるキャリアの回線にすること(繰り返し)。docomo、au、Softbank、少なくとも2つの回線を使える状態なら片方が今回のように通信障害を起こしてももう片方がまだ使える。資金や管理に余力があるなら、3つとも使えるようにしておく手もある。通信障害の影響を受けた企業が少なくなかったようだが、理論上は対策可能ではある。契約や資金の都合があるのかもしれないが。

私が使っているのは、メイン回線にahamo、サブ回線にpovo2.0。今回はたまたまauの方で通信障害が発生しpovo2.0での通信ができなくなったが、docomo回線の方まで通信障害が重なることは起きなかったため影響を比較的抑えられた。今回はたまたまそうなっただけで、逆の事象が発生する可能性はある。社用携帯とプライベート用で回線が違うようにするのも手。社用の方はいざとなったらテザリングでテキストのやり取りくらいならできる。

契約している2回線いずれも同時に通信障害が発生してしまっては流石にどうしようも無い、かといって3回線持ちは(社用携帯を除く)一時期試してはみたが、私には扱い切れなかった。

インターネットに依存した日常

インターネット依存は悪く言われやすいように思うが、かといってインターネットに触れないというのは今や現実的ではない。LINEやメールでのやり取りだってインターネットを経由しているし、仕事でのデータや進捗管理もサーバーを利用しているならそれもインターネット経由。仕事も生活も、今やインターネットありきなのだ。ある意味、誰しもがインターネット依存していると言えるかもしれない。

インターネットの普及により、あらゆる効率化が図れた。利用しない手は無いほどに。コロナ禍を過ごす必需品にすらなっている。私もつい当たり前のような感覚で使ってしまっているところがあるが、それがどれだけ恵まれているか、こういう時に実感する。

KDDIの会見

各方面から評価されているという、大規模通信障害を受けて開かれたKDDIの社長による会見。髙橋誠社長1人で全てに応じられたわけでこそなかったが、発生した事象の説明に加え、記者からの質問の殆どに対し1人ですぐに技術的な回答をした。他の人に回答を任せたのは一部だけ。より細かい部分は流石に現場責任者などの人の方が把握している。髙橋誠社長は技術出身だという。分野は違えど私も技術職の端くれなので、あの会見での対応のレベルの高さを感じた。

現場の事を現場に任せきりにするのではなく、通信の仕組み、仕様、その時現場で行われていた事など、一連を説明できるくらい把握している。そして会見で自ら矢面に立ち、言い訳一つせずに謝罪をし、その上で経緯の説明をした。これが組織のリーダー。ただ肩書きが与えられているのではなく、把握する事を把握している。求められている事に応える。偉そうな言い方かもしれないが、そこに自覚を見た。

仕組みや理由を自分の言葉で相手に伝わるように説明できるというのは技術職にとってとても重要な事。しかもただ感情に訴えかけるのではなく、知識と論理で以って言説しなければならない。技術者同士では伝わる表現が技術者以外に伝わるとは限らないため、営業や顧客に対しより分かりやすい表現で説明する力が必要になる。それっぽい、という誤魔化しは通用しない。この難しさは身を以って知った。基本的な国語力も勿論大前提として必要だが、自分の中での知識などをどれだけ理解して整理できているかが決定的な分かれ目。立場が違えば考える事だって違うのだ。

「〇〇するだけじゃん」「〇〇すればいい」なんて単純な考えが簡単に通用しないのが技術職。何となくの感じ、は通用しない。良くも悪くも、感情は切り離して考える事が多い。他の分野だとどうなのかは未経験なので知らないのだが、私の知る技術職とはそういうものだ。私はKDDIの会見を、そういう視点で見た。

補償は?

通信障害発生から一週間経過時点でも補償についての発表は無いが、日数分の料金を値引くくらいだろうと思っている。

補償の可能性についてはユーザーはそもそも同意しているので、同意した内容に矛盾する箇所が無いなら文句を言う方が後出しじゃんけん。今月分はタダ、みたいな前例を下手に作ってしまうと今後も発生し得る通信障害の度に事業に響くし、他社もそういう要求をされてしまうことだって考えられる。

感情的には納得し難いと思う人もいるかもしれないが、向こうだってやっているのは商売であり、慈善事業ではないのだ。

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