必要悪としての洗脳

人間論

私が勤めている会社というか親会社からの洗脳の圧を感じずにいられない。だが、組織をまとめるにはある程度の洗脳のシャワーは必要なところがあるのだろうと、そういう環境下で1年働いたからこそ感じてもいる。思い返せば学校でもそういうのはあった。

洗脳と言っては言葉が悪いかもしれないが、誰にとってかはともかく洗脳のメリットはある。それを紐解いてみたい。

誰しもが洗脳されている

洗脳というと悪い事で避けるべき事と思う人がいると思うが、洗脳とか言い出したらキリが無い。

例えばこのブログや記事でもそうだが、書かれているものを見てそれを文字と認識し内容まで認識できるのは何故か?見た事も無いような文字か記号かも分からないものは認識できないのに、何故認識できるものは認識できるのか?

それは、そう認識するよう刷り込みが事前にされているから。言語を言語として認識できるかどうかの違いはその言語を知っているかいないか、刷り込みをされているかいないかの違いが、文章力以前の根本的な違い。知っている物事ほど認識しやすいのは言葉に限った話でもない。

事前の刷り込みを共有した者同士なら前提を共有できているので、本題に入りやすい。

学校教育の洗脳

今振り返ってみれば学校教育の時点で洗脳に溢れている。勿論、生きていくために必要な物事を学ぶ有意義な場になり得るが、気を抜くと本人どころか保護者まで洗脳されてしまう可能性は常にある。

日本人はよく「ルールだから」「みんなやってる」と思考停止する。私からすれば「それが何なの?何でそれだけで理由になるの?話の本質は本当にそこなの?」と甚だ疑問だし、そう言われただけで納得したことなどただの一度も記憶に無いのだが、こういう話の片付け方をする人はいつになってもどこに行っても毎回いる。恐らく、こういう考え方をするように言われて、日本人の場合は納得してしまう人の方が多いのだろう。私は幸か不幸かその反対側の人間のようだ。

日本には個人よりも集団を重んじる文化があるためそれに抗うよりも従う方が、出る杭は打たれずに済む。そう考えると幼少期の段階で集団主義の考え方を刷り込ませておくことは保険のようなもの。郷に入っては郷に従え、とは日本の場合は集団主義に染まることなのだろう。

社会に出ていきなり「ルールだから」「みんなやってる」と言われるくらいなら就職前にその考え方に対し、納得はできなくてもある程度耐性や免疫を付けさせる意味も、意図しているかは置いといて、ある気がする。

学校教育で最も洗脳だと思えるのが、生徒が会社員か公務員になることを前提にしているような話の進め方ばかりされたこと。少なくとも私の過ごした環境は間違いなくそうだった。良くも悪くも。

会社の洗脳

正直言ってこれは学校の数倍タチが悪いが、その元凶は学校教育にもある。だがこの日本という国で会社という組織を成り立たせるにはそうせざるを得ないところはどうしてもある。

会社といっても数人だったり数千人だったり、規模は代償本当に様々。会社単体では数十人でもグループ全体で括ると数百人、数千人、ということもある。規模が大きい組織ほどそうだと思うが、会社が組織として学校と決定的に違うのは、幅広い世代の人が集まって一緒に活動すること。年上を敬う文化が根強い日本ではどうしても上の世代が結局市民権が強いような雰囲気がどうしてもある。

それに加え、古い知識や考え方、価値観を更新しようともしない人というのは、残念ながら存在する。そういう人に怪我をさせられないためには演技してでも調子を合わせないといけない。

日本人は帰属意識が好きなので、本質的には個人単位の問題であるはずの話を「会社に対する裏切り」「会社の恥」みたいに話が明らかに飛躍している拡大解釈をする人がいる。それを言い出す人の声は不思議と大きいし、日本には「大きい声に従おう」みたいな思考停止した雰囲気がある。

自分を守るには出る杭にならないことが無難なのだろう。そうやって調子を合わせることを疑問に思わなくなってしまうと、会社の言う事を聞かざるを得なくさせられていることに気付かなくなってしまう。

ここまでの話のよくある例が、会社規則による副業禁止。

会社員が副業禁止の規則を守らなくていい理由 | スノログ (talblo-writing.com)

馬鹿正直にこんなルールに従っていては会社の言う事を聞かざるを得なくさせられるし、リストラや倒産に備えることもできない。

洗脳の螺旋で得する人

陰謀論みたいな事を言うようだが、人を洗脳させることで旨い汁を吸える首謀者のような、支配者の立場にあたる人が存在する。

そういう立場の人はピラミッドの上位数パーセントに該当するような人で、高額納税者でもある。稼ぎが多いからと高額納税者を下手に税金で虐めると国外へ逃げられてしまう。その皺寄せが庶民にまで及ぶと支配者が言う事を聞いてもらえなくなる。それを防ぐには、大量の庶民が洗脳を洗脳と認識しない、疑問に思わないでいてくれるのが好都合。

ドラマ『女王の教室』に、このようなセリフが出て来る。

日本という国は、そういう特権階級の人たちが楽しく幸せに暮らせるように、あなたたち凡人が安い給料で働き、高い税金を払うことで成り立っているんです。

そういう特権階級の人たちが、あなたたちに何を望んでいるか知ってる? 今のままずーっと愚かでいてくれればいいの。

世の中のしくみや、不公平なんかに気づかず、テレビや漫画でもぼーっと見て何も考えず、会社に入ったら、上司の言うことを大人しく聞いて、 戦争が始まったら、真っ先に危険な所に行って戦ってくればいいの。

日本テレビドラマ『女王の教室』

世の中がこれを前提に成り立っているというのは、私自身実際に社会に出て働いたことで痛感した。女王の教室が放送されたのは2005年7~9月にかけてで、私が社会に出たのは2016年4月のこと。その時点で既に10年以上経過しているにも関わらず、世の中はこれが前提。そういう人たちが思考停止して税金を取られ放題になっているお陰で特権階級の人は旨い汁を吸える。

支配者が支配者であるためには、支配される人を洗脳するのは手段として必要悪なのだろう。支配者が高額納税してくれるお陰で凡人も公共サービスの恩恵を享受できているのだ。そうやって凡人を活かさず殺さずの状態にしておけば税金を確保できる。

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